ガソリン税 暫定税率の廃止に思う/池田

2026.03.08 17:36 - By TK

池田昌博

 「ガソリン税の行方を読み解くー大改革の道を進もうー 朝日新聞 編集委員 小此木 潔2008.4.6」という論説記事が手元に残る。記事には、「値下げを喜べない。ガソリン税を一般財源化する、との福田首相の表明に民主党が背を向け、公共事業偏重型の財政構造を、生活者本位に転換する『大改革』が不発に終わりかねないからである。」と記される。

 もう多くの方は記憶の外だとは思うが、2008年3月31日をもって暫定税率が一時失効し、ガソリン価格の下落が発生している。この失効は与野党の対立によるもので、民主党が暫定税率の即時廃止を主張していた。福田康夫内閣は道路特定財源を2009年度から全額一般財源化するという新提案を示したが、合意に至らず、結果として、暫定税率を含む租税特別措置法改正案の審議が年度内に完了せず、法的根拠を失った暫定税率が失効したという経緯がある。 

 この間、与党は衆議院での再議決により暫定税率を復活させ、2008年5月1日から再び53.8円の税率が適用されることになった。この間、私たちは市民活動として「道路財源を考えるシンポジウム」を開催している。与野党の議員にも参加していただき、暫定税率の維持、道路特定財源は一般財源化を求め、その財源を幅広く、公共交通予算に使えるよう要望した。クルマの社会的費用、エネルギー環境問題も視野に入れたものであった。その当時も我が国ガソリン価格は国際比較しても米国に次ぎ安い水準であった。(下図は2024年の国際比較)その後、私たちも驚いたのであるが、福田首相は2009年4月、ガソリン税の道路特定財源制度を廃止し、一般財源化が実現している。

 しかし、ガソリン税は一般財源化したが、その用途は変わらず、その後のクルマの低燃費化によりガソリン税だけで道路予算が確保できない「逆ザヤ」が発生してきた。今思えば、皮肉なことではあるが、ガソリン税は特定財源に留め、その範囲の中で道路事業を行うことを主張すべきだったとも感じている。

 昨年末、暫定税率廃止が与野党全会派の合意で決まった。すでにガソリン価格は低下しているが、財源のあり方は論議されていない。ガソリンは安ければよいと言うものではない。道路の維持管理、エネルギー環境問題、公共交通のあり方についての論議はなされていない。決して必要性が高くないと思われる新直轄式と称する地方での高規格道路整備も継続されている。

 減税を主張すれば民意を得られるという中で、次世代への責務という論議もなく、責任与党のブレーキも外されたように感じている。改めてクルマ社会のあり方を含めた税負担のあり方を論議すべきだと感じている。この私見を整理している際に、ホルムズ海峡の閉鎖の報道があった。
出展:財務省資料

TK