私たちの地球、私たちの唯一の生きる場所である生命系は、今、不可逆的な方向で機能できなくなるという脅威の下にある。生命系の確かな働きを安定させ回復させるための大規模な転換が求められている。環境と開発の問題はより複雑化し、より国際化してきており、天然資源・環境分野の新世代のリーダーたちは、環境科学、マネジメント、政策における専門的なトレーニングをこれまで以上に必要とする。私たちは、彼らがこの難しい任務を果たし得るように手助けしなければならない。それが、これまで国連開発計画(UNDP)総裁、クリントン大統領の環境問題顧問、世界資源研究所(WRI)創設者で代表、カーター大統領環境諮問委員会委員長、自然資源防衛評議会(NRDC)共同創設者という多様な職務を歴任してきた今の私の認識であり使命である。
今年2007年は特別な年である。30年前の1977年中頃、カーター大統領は環境諮問委員会(CEQ)と国務省に対して、「今世紀終わりまでの世界人口と天然資源と環境の変化の見通し」の報告書の準備を命じた。それが後に『西暦2000年の地球』となったものである。20年前の1987年にはブルントラント委員会が『Our Common Future われら共有の未来』を発表した。10年前の1997年には、国連気候変動枠組み条約第3回締約国会議で京都議定書が合意された。
今年9月、藩基文事務総長の主導による気候変動に関する初の国連ハイレベル会合が開催された。12月には、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)とゴア元副大統領は、「人為による気候変動についての重大な知識をまとめあげて広め、その変動を防止するのに必要な対策のための基礎を築いた功績」に対して、2007年ノーベル平和賞を受賞する。
10年後の2017年までには、私たちは温暖化の脅威に取り組むための明確な前進を行ったといえることを、私は心から希望している。
2008年のG8北海道洞爺湖サミットに向けて日本の方々に、私が抱き続けてきた次のような問いを真剣に考えていただきたいと願っている。
「いくつかの国々は、経済成長の前線での勝利を宣言するのではなく、今日の変化の速い世界での成功とは大きく異なった質の高い生活水準の享受という点での勝利、そして平和、審美、教育、自由、経済的安全、多様な生命、環境の質などが創りだす、非物質的なものの尊重を宣言すべきではないだろうか。そして、もう十分だ!という決定を国としてできないだろうか?」
私たちの使命は、前例のないこれら全ての最前線をさらに前へと推し進めることである。私たちにできる次の世代への最大の贈り物は、持続している地球そのものであるにちがいない。私たちの始まりであり、私たちを涵養する究極の源泉である地球を残し、それと調和した人間社会へと創り直すこと、それ以上に、重要な目的を考えることはできない。
人びとは、前向きのビジョンを実現するために、あるいは、災害を避けるために、愛か恐怖で行動を起こすものだといわれている。前向きのビジョンを、あなた方は、イエローストーン国立公園で、ヨセミテ国立公園で、あるいは富士山麓で、魚を釣ったり、野鳥をみつけたり、森林をハイキングしている時に、見てきている。清々しい空気や澄んだ水、川で遊んでいる子どもたち、浜辺の夕日、メキシコに向かうオオカバマダラ(蝶)、繁殖地にたどりついたばかりの鳥たち、また、草を食べている鹿にさえも、前向きのビジョンを見ている。
それはあなたの、そして私の一部であり、また私たちはその一部である。そして、それは、私たちの子どもたちのためにあり、さらに彼らの子どもたちのためにあるというように永遠に続いてゆくだろう、もし私たちがそれを維持し育てる賢さをもっているのであれば。
世界の最後の日でも、
私は木を植えたいと願うだろう −M.S.メルビン
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